冬場の打ち上げ花火。
花火大会として計画されるものもあれば、ゲリラ的に打ち上がるものもありますが、この時期から年末年始にかけて増えてきます。
冬場の花火を見たときにふと思うのが、「夏の花火よりも冬の花火の方が綺麗じゃない?」ということ。
今回はなぜ冬の方が綺麗に見えやすいのか、主な3つの科学的根拠についてまとめてみました。
空気の透明度が高い(光の散乱が少ない)
どうやらこれが最大の理由のようです。夏と冬では空気中の「不純物」の量が違います。
- 水蒸気が少ない: 気温が低い冬は、空気が含ことのできる水分量(飽和水蒸気量)が減るため、夏に比べて湿度が圧倒的に低くなります。
- 塵(ちり)やホコリが少ない: 冬は気流(偏西風など)が強く、空気中のホコリや塵が吹き飛ばされやすいため、空気が澄んでいます。
【どう見える?】 夏は空気中の水分や塵に光がぶつかって乱反射(散乱)し、全体的にぼんやりと白っぽく霞んで見えがちです。一方、冬は光を遮るものが少ないため、花火の光がくっきりと鮮明に目に届きます。
夜空の「黒」が濃い(コントラスト効果)
上記の「空気の透明度」は、花火の背景となる夜空の暗さにも影響します。
- 背景が真っ暗: 空気が澄んでいると、街明かりなどが空で乱反射する「光害(ひかりがい)」の影響を受けにくくなります。そのため、冬の夜空は夏よりも深く暗い「漆黒」になります。
- 色の対比(コントラスト): 真っ黒な画用紙に絵を描くのと同じで、背景が暗ければ暗いほど、花火の色彩や輝きが際立ちます。
煙が滞留しにくい
花火鑑賞の天敵である「煙」も、冬の方が邪魔になりにくい傾向があります。
- 上空の風: 冬は上空の風が強いことが多く、花火の爆発で生じた煙がすぐに流されます。そのため、煙に邪魔されることなく、クリアな視界が保たれやすくなります。
まとめ:夏と冬の見え方の違い
| 特徴 | 夏の花火 | 冬の花火 |
| 空気の状態 | 湿気が多く、塵も多い | 乾燥しており、澄んでいる |
| 光の届き方 | 散乱して少しぼんやりする | 散乱せず、輪郭がくっきり |
| 背景の空 | 少し白っぽく明るい夜空 | 深く暗い漆黒の夜空 |
| 全体の印象 | 柔らかく、情緒的 | 鋭く、鮮烈でキラキラしている |
補足:心理的な効果も?
科学的な理由に加え、「寒さで感覚が研ぎ澄まされる」という心理的な効果や、夏に比べて冬は空気が凛と張り詰めているため、より神聖で美しく感じるという側面もあるかもしれませんね。