少し昔の記事ですが、TABI LABOにこんな記事を見かけました。
TABI LABO
アメリカのイエール大学の研究によると、週に3.5時間以上読書をする人は、そうでない人と比べて平均して2年も長生きするというのです。
この結果は、読書が健康や長寿にプラスの影響を与える可能性を示唆しています。
しかし、読書時間と寿命に本当に因果関係があるのでしょうか。
今回は、読書と寿命の関係について深掘りしながら、相関関係と因果関係の違いについても考察していきます。
相関関係と因果関係の違い
まずは相関関係と因果関係の定義についてです。
相関関係とは、2つの事象が同時に起きる傾向があることを指します。
しかし、それらの事象が直接的に影響し合っているわけではありません。
一方で因果関係とは、一方が他方を引き起こす直接的な関係を指します。
たとえば、アイスクリームの売上が増える時期は、水難事故も増加します。
これらの間には相関関係がありますが、アイスクリームを食べることが水難事故を引き起こすわけではありません。
共通する要因である「暑さ」が両方に影響を与えているのです。
同じように、読書と寿命の間にも共通の要因が存在する可能性があります。
読書をする人は、もともと健康意識が高い、ストレスをうまく管理している、または社会的・経済的な余裕があるといった特徴を持っているかもしれません。
読書が与える可能性のあるプラスの影響
それでも、読書が健康や寿命に貢献する可能性を完全に否定するわけではありません。
以下のような理由から読書がポジティブな影響を与えると考えられます。
1. ストレス軽減
読書は、日常の喧騒から離れて心を落ち着ける時間を提供します。お気に入りの本に没頭することで、心拍数が下がり、ストレスホルモンの分泌が抑えられることが分かっています。慢性的なストレスは健康に悪影響を与えるため、これを軽減できる読書は間接的に寿命を延ばす可能性があります。
2. 脳の刺激
読書は脳を活性化させ、認知機能を向上させる効果があります。特に小説を読むことで想像力が刺激され、記憶力や問題解決能力も向上します。これらの効果が、加齢に伴う認知症リスクの軽減につながる可能性があります。
3. 社会的なつながりの促進
読書クラブや本を通じた対話は、他者とのつながりを深めるきっかけになります。社会的な孤立は健康リスクを高める要因ですが、読書を通じて生まれる人間関係は、心の健康を支える重要な役割を果たします。
データを鵜呑みにしない重要性
それでは、今回のイエール大学の研究について考えてみましょう。
この研究結果が示しているのは、「読書をする人が平均して2年長生きする」という相関関係です。
しかし、因果関係を証明するには、さらなる調査が必要です。
たとえば、読書をする人が他にどのような生活習慣を持っているかを調べる必要があります。
運動量や食生活、社会経済的な背景が結果に影響を与えている可能性があります。
これらの要因をコントロールした上で、読書そのものが寿命に与える影響を分析しなければなりません。
読書を生活に取り入れるヒント
とは言え因果関係が完全に証明されていなくても、読書には多くのメリットがあります。
ここで、日常生活に読書を取り入れるための簡単なヒントをご紹介します。
- 毎日10分から始める: 忙しい日々の中でも、就寝前や通勤時間に少しの時間を確保するだけで十分です。
- 興味のあるジャンルを選ぶ: 読書を習慣化するには、まず楽しむことが大切です。自分の興味に合った本を見つけましょう。
- 電子書籍を活用する: スマホやタブレットで手軽に本を読める環境を整えると、スキマ時間を活用できます。
まとめ
読書が寿命を延ばす可能性があるというニュースは、多くの人にとって希望を与えるものでした。
しかし、その裏側には相関関係と因果関係の違いという重要な視点があります。
読書そのものが長寿に直接つながるかどうかは議論の余地がありますが、ストレス軽減や脳の刺激、社会的なつながりなど、読書がもたらすポジティブな影響は間違いありません。
ぜひ、日常生活に読書を取り入れることで心と体の健康を向上させましょう!