選挙のたびに聞こえてくる「白紙投票も立派な意思表示」という言葉。テレビのコメンテーターが決まり文句のように口にし、SNSでも拡散されています。
しかし、この考え方は政治の現実を見誤った危険な幻想ではないでしょうか。
白紙投票の「本当の効果」を分析してみた
まず、選挙における行動とその実際の効果を整理してみます。
有力候補(現状維持勢力)を支持する方法は3つある
- 有力候補の名前を書いて投票する
- 白紙で投票する
- 棄権する
有力候補を支持しない方法は1つしかない
- 投票に行って別の候補者の名前を書く
この単純な図式を見れば、白紙投票や棄権がどういう意味を持つかは明らかですね。結果として現状維持勢力を利する行為でしかありません。
「意思表示」という美しい言葉の罠
「白紙投票は政治への不満の表れ」「無関心ではなく、積極的な意思表示」──こうした論調をよく耳にします。確かに個人の心の中では不満の表明かもしれません。
しかし、選挙という制度の枠組みで考えれば、白紙投票は実質的に現状支持と同じ効果しか持たないことが分かります。内面の不満と政治的効果は全く別の話ですね、、、
報道されても何も変わらない現実
「それでも白紙投票率の高さが報道されれば、政治的メッセージになるのでは?」という反論もあると思います。
ですが、現実を見てみると、白紙投票率が高いと報道されても、せいぜい「有権者の政治不信が高まっている」というニュースになるだけです。政治家は「国民の声に真摯に耳を傾ける」とコメントし、それで終わりです。
具体的な政策が変わることも、政治家が辞任することもありません。
むしろ現職政治家にとって、白紙投票や棄権は理想的な状況かもしれまえん。不満を持つ有権者が対立候補に投票せず、「意思表示」という名目で実質的に現状維持に貢献してくれるているので。
過去を振り返っても、白紙投票の多さによって政治が大きく変わった例を思い浮かべることはできせん。政治が実際に変わるのは、対立する候補者や政党が選挙で勝利した時です。
現状を変えたいなら、やるべきことは一つ
もしあなたが今の政治に不満を持っているなら、選択肢は一つしかありません。
それは投票に行って、別の候補者の名前を書くこと。
完璧な候補者はいません。自分が100%満足できる政策を掲げる候補者もおそらくいないでしょう。それでも、現状よりマシだと思える候補者はいるはずです。
「どの候補者もダメ」と感じるなら、その中で「一番マシ」な候補者を選ぶ。それが民主主義における大人の判断です。
そう考えると、今年の参議院選。
国民民主党や参政党の躍進、チームみらいの議席獲得といった選挙結果は現状への不満の表れから潮目が変わっていることが分かります。
まとめ:「意思表示」という幻想を捨てよう
白紙投票は美しく聞こえる「意思表示」ではありません。実質的には現状支持という行為です。
政治を変えたいなら、感情的な「意思表示」ではなく、戦略的な投票行動を取るべきではないでしょうか。テレビのコメンテーターの美辞麗句に惑わされず、冷静に政治的効果を考えことが有権者の責任なのだと思います。
参考図書
出口治明さん著「人生を面白くする 本物の教養」