「おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり」
この言葉を聞いたことがあるでしょうか。幕末の志士・高杉晋作の辞世の句として知られるこの歌には、人生を豊かに生きるための智恵が込められているように思います。
「面白いことなんて何もないこの世の中を、面白くするのは自分の心次第」
この精神こそが、現代を生きる私たちにとって最も必要なマインドセットなのではないでしょうか。
現実を受け入れることから始まる
まず大前提として認めなければならないのは、何十年と生きてきて培った性格や考え方は、今更根本的に変わることはないということです。
これは諦めではありません。むしろ現実的な自己受容です。
「もっとポジティブになろう」「性格を変えよう」と無理をするより、今の自分を受け入れた上で、その枠組みの中でできることを考える方がよほど建設的です。
変えられないものを変えようとするエネルギーを、変えられるものに向けていく。それが「すみなすものは心なりけり」の真髄です。
受け身では何も変わらない
多くの人が陥りがちなのが、受け身の姿勢です。
- 「面白い仕事が来ないかな」
- 「刺激的な出来事が起きないかな」
- 「誰かが楽しませてくれないかな」
このように外部からの刺激を待っているだけでは、結局だらだらと時間が過ぎていくだけです。面白さは向こうからやってくるものではなく、自分で見つけ出すものなのです。
主体性が面白さを生み出す
では、どうすれば面白さを見つけることができるのでしょうか。キーワードは主体性です。
情報を能動的に取りに行く
同じ仕事でも、言われたことをただこなすのと、関連する情報を自分から調べて深く理解しようとするのでは、体験の質が全く違います。
例えば、資料作成の仕事があったとします。受け身の人は「面倒な作業だな」で終わりますが、主体的な人は「この業界の最新トレンドは何だろう」「もっと効果的な見せ方はないか」と自分から学んでいきます。
学習する習慣を作る
面白さを見つけるためには、常に新しい知識や視点を取り入れることが大切です。
- 業界の専門書を読む
- オンライン講座を受講する
- 異業種の人と交流する
- 新しいツールやアプリを試してみる
学ぶことで、今まで見えなかった面白さが見えてくるものです。
小さな工夫を積み重ねる
日常の些細なことにも、工夫の余地はたくさんあります。
- いつものルーティンワークに小さな改善を加える
- 新しいアプローチを試してみる
- 効率化のアイデアを考える
- 同僚とのコミュニケーションを工夫する
こうした小さな創意工夫の積み重ねが、仕事に面白さをもたらします。
面白さは創造的行為である
「面白さを自分で見つける」ことは、実は創造的な行為です。
料理に例えてみましょう。同じ材料でも、料理人の腕と創意工夫によって、全く違う料理になります。目の前にある「素材」(仕事や日常)をどう「料理」するかは、自分次第なのです。
心の持ち方が現実を変える
「すみなすものは心なりけり」の「すみなす」には、「住みよくする」「居心地よくする」という意味があります。
同じ環境でも、心の持ち方一つで住みよい場所にもつまらない場所にもなる。これは決して精神論ではなく、実際に行動と結果を変える力のある考え方です。
面白さを見つけようとする心が、新しい発見を生み、学習を促し、創意工夫を生み出します。その結果、実際に仕事や日常がより豊かで刺激的なものになっていくのです。
まとめ:今日から始められること
面白さを自分で見つけるマインドを身につけるために、今日からできることがあります。
- 現在の自分を受け入れる - 性格を変えようとせず、今の自分でできることを考える
- 受け身をやめる - 外部からの刺激を待つのではなく、自分から動く
- 小さな好奇心を大切にする - 「なぜ?」「どうやって?」と疑問を持つ
- 学習する習慣を作る - 毎日少しずつでも新しいことを学ぶ:読書でも新聞でも海外ニュースでも
- 工夫する楽しさを味わう - 日常の小さな改善を楽しむ
人生は一度きりです。つまらない毎日を送るか、面白い毎日を送るかは、結局のところ「心」次第です。
おすすめ書籍
「面白さを自分で見つける」マインドを深めるためのおすすめ書籍です。
必読書
『7つの習慣』- スティーブン・R・コヴィー
主体性を身につけるための古典的名著。「影響の輪」の考え方は、自分でコントロールできることに集中する重要性を教えてくれます。
『フロー体験 喜びの現象学』- ミハイ・チクセントミハイ
日常の活動で「フロー状態」に入る方法を科学的に解説。仕事や趣味で没頭できる瞬間を意図的に作り出すヒントが満載です。
マインドセット系
『マインドセット』- キャロル・S・ドゥエック
「成長マインドセット」vs「固定マインドセット」の概念で、挑戦や学習への向き合い方が変わります。
『GRIT やり抜く力』- アンジェラ・ダックワース
才能より「やり抜く力」の重要性を説く。継続的に面白さを見つけ続ける力を養えます。
好奇心・学習系
『ケーキの切れない非行少年たち』- 宮口幸治
物事の見方を変える重要性を痛感できる一冊。同じ現象でも視点次第で全く違って見えることを実感できます。
『アウトプット大全』- 樺沢紫苑
学んだことをアウトプットして初めて成長できる。情報収集だけでなく実践の重要性を教えてくれます。
クリエイティビティ系
『アイデアのつくり方』- ジェームス・W・ヤング
薄い本ですが、創造性の本質を的確に捉えています。日常の中でアイデアを見つけるプロセスが学べます。
『デザイン思考が世界を変える』- ティム・ブラウン
問題解決への新しいアプローチ。既存の枠組みを超えて物事を捉える力が身につきます。