こんにちは。私自身、30代で子育て真っ最中の社畜会社員なのですが、先日会社でキャリアデザインに関する研修を受講したところこんな言葉を知りました。
「キャリアの8割は予想外の偶発的なことによって決定される」
これは、スタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授が提唱した「計画的偶発性理論」の核心部分です。
計画的偶発性理論って何?
簡単に言うと、私たちのキャリアの約8割は、事前に計画していたことではなく、偶然の出会いや予期しない出来事によって決まるという理論です。
ただ、これは「運任せでいい」という意味ではありません。重要なのは、偶然を活用できるよう準備しておくということ。
クランボルツ教授は、以下の5つの能力が重要だと述べています:
- 好奇心 - 新しい学習機会を探求する
- 持続性 - 困難に直面しても努力を続ける
- 柔軟性 - 態度や状況を変化に適応させる
- 楽観性 - 新しい機会を可能なものとして捉える
- 冒険心 - 結果が不確実でも行動を起こす
30代子持ちサラリーマンの現実
理論は分かったけれど、実際の30代子持ちサラリーマンには独特の制約がありますよね。
家庭との制約
- 住宅ローン、教育費、生活費で経済的リスクが取りにくい
- 転勤や長時間残業が困難
- 配偶者のキャリアとの調整が必要
- 子どもの保育園・学校関係での地域コミュニティとの関係
キャリア上の立ち位置
- 20代のような「伸び代」への期待は減り、結果が求められる
- 管理職候補としての責任が増加する時期
- 転職に対しても慎重にならざるを得ない
では、どうやって計画的偶発性理論を活用する?
制約があるからといって、チャンスを諦める必要はありません。現実的なアプローチを考えてみます。
1. 好奇心の活用(リスクを抑えて)
社内外のネットワーキング
- オンライン異業種交流会への参加
- 子どもの習い事を通じた保護者コミュニティでの関係構築
- 趣味や副業を通じた新たな人脈形成
子どものサッカークラブで知り合った他の保護者が、実は別業界の部長さんで、そこから転職につながる、なんてこともあるかも知れません。
2. 柔軟性の維持
新しい働き方への適応
- リモートワークやフレックス制度を活用した働き方の実験
- 社内異動の機会を積極的に検討
- スキルの横展開(営業→マーケティング、技術→プロダクトマネージャーなど)
3. 冒険心をバランス良く
リスクを抑えた挑戦
- 副業や週末プロジェクトで新分野を探索
- 社内起業制度や新規事業提案制度への参加
- 短期間の出向や派遣制度の活用
偶発的機会を活かすための準備術
ネットワークの多角化
同じ会社・業界の人とだけ付き合っていては、偶発的な機会は生まれにくいものです。
- 子育て関連コミュニティ
- 地域活動
- オンラインコミュニティ
- LinkedInやnoteなどでの情報発信
スキルの棚卸しと汎用化
現在のスキルを他業界でも活用できる形で整理しておくことが重要です。
- 業界特化の知識を一般化して説明できるようにする
- デジタルスキルの継続的なアップデート
- マネジメント経験の体系化
家族との調整メカニズム
家族の理解と協力なしには、新しいチャレンジは難しいものです。
- 配偶者との定期的なキャリア相談
- 子育て支援体制の構築
- 家計の柔軟性確保
まとめ:安定を保ちながら機会を逃さない
計画的偶発性理論は、30代子持ちサラリーマンにとって「安定を保ちながら機会を逃さない」ためのフレームワークとして特に有効です。
重要なのは、制約があることを前提として、その中でも継続的に外部との接点を持ち続けることです。完璧な計画を立てて実行するよりも、変化に対応できる準備をしておく方が、長期的には大きな成果につながるかもしれません。
自分自身のキャリアを考えるおすすめ書籍
1. 『その幸運は偶然ではないんです!』
著者: J・D・クランボルツ、A・S・レヴィン
計画的偶発性理論で著名なJ・D・クランボルツなどが著した『その幸運は偶然ではないんです! 夢の仕事をつかむ心の練習問題』は、理論の創始者自身が書いた決定版です。キャリアプランではなく、偶然をチャンスに変える心の練習問題が具体的に紹介されています。
2. 『転職の思考法』
著者: 北野唯我
「20代は専門性、30代は経験、40代は人脈」これは『転職の思考法』に書いてある、キャリア形成の考え方として有名です。30代のキャリア戦略を考える上で必読の一冊です。
3. 『シン・サラリーマン』
著者: サラタメ(サラリーマンYouTuber)
『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン』は、人生100年時代を生き抜くための新しいキャリア戦略を紹介した一冊で、30代サラリーマンの現実的な働き方を提案しています。
4. 『転職と副業のかけ算』
著者: moto
30代での転職と副業を両立させるための具体的な戦略が学べる実践書です。家庭を持ちながらキャリアアップを目指す方に特におすすめです。
5. 『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』
著者: リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
人生100年時代におけるキャリア設計の考え方を学べる名著。子育て世代のマルチステージ人生を考える上で必読です。
6. 『DIE WITH ZERO』
著者: ビル・パーキンス
転職に悩んだら必読しておくべき本「DIE WITH ZERO」。家族との時間とキャリアのバランスを考える上で重要な視点を提供します。
7. 『THINK BIGGER』
著者: シーナ・アイエンガー
30代は、ビジネスパーソンとして「思考する力」が特に求められます。30代をいかに過ごしてきたかでその後の人生も変わってしまう。課題解決に向けた思考力を養うためにおすすめの一冊です。
8. 『キャリアづくりの教科書』
著者: 各種著者
自分のキャリアは自分で考えるしかありません。大手だとキャリアデザインの研修がある会社もありますが、そうでない場合は自分でキャリア理論を学び、考える必要があります。自分自身のキャリアに悩む30代や40代、これからのキャリアを考える20代にもおすすめの一冊です。