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投資

【2026年開始】「こども支援NISA」は本当に子育て世帯の味方なのか?冷静に見る制度のメリットと落とし穴

2026年度から始まる予定の「こども支援NISA(仮称)」。

メディアでは「子育て世帯への朗報」として報じられていますが、制度を使える余裕がある人とない人で格差が拡大するのではないかとも思います。

今回は、こども支援NISAの概要・懸念事項を整理し、実際に活用する際のポイントについて書きたいと思います。

こども支援NISAの基本情報

まず制度の概要を整理しておきましょう。

  • 対象年齢: 0歳〜18歳
  • 年間投資枠: 60万円(月5万円ペース)
  • 生涯投資枠: 600万円
  • 最大の特徴: 12歳から引き出し可能(教育資金として使いやすい設計)
  • 開始時期: 2026年度〜

親の新NISA(年間360万円)と組み合わせると、4人家族(両親+子供2人)で年間最大840万円の非課税投資枠を持つことができます。

誰がこの制度を最大限活用できるのか?

ここで冷静に考えたいのは、「年間60万円を子供のために追加投資できる家庭はどれくらいあるのか」という現実です。

現行の新NISA(つみたて投資枠年120万円、成長投資枠年240万円)を夫婦でフル活用している家庭は、実際のところ限られています。多くの家庭では、日々の生活費や教育費で精一杯というのが現実でしょうし、そもそも子育て世帯の中でNISAを利用していない家庭がまだまだ多いのではないかと思います。

我が家も昔の積立NISAの名残で夫婦それぞれ年間40万円分は積み立てていますが、まだまだNISA枠を使い切れそうにありません。

想定される利用パターン

  1. 余裕資金がある富裕層: すでに親のNISA枠を活用しており、さらなる非課税枠として子供の口座も積極活用
  2. 祖父母世代の資産移転: 孫への教育資金として、相続税対策も兼ねて祖父母が拠出
  3. 児童手当の投資先: 毎月の児童手当を自動的にこども支援NISAへ(月1万円程度)

制度を最大限活用できるのは、すでに一定以上の資産を持つ層になる可能性が高いです。

気づきにくい3つの構造的課題

課題①:スタートラインの格差拡大

18歳になった時点で:

  • A君: 親が毎年60万円を18年間投資。運用益込みで1,500万円超の資産を持って成人
  • B君: 投資に回す余裕がなく、奨学金800万円を借りて大学進学

この二人の社会人スタート時の資産差は、2,300万円以上。これは「努力の差」ではなく、「親の経済力の差」です。

課題②:投資先の偏りが生む円安圧力

多くの人が選ぶであろう投資先は、全世界株式インデックスや米国株式インデックスです。つまり、制度を通じて日本円が海外資産(主にドル建て)へと流出していきます。

「子供の将来のために」と投資した結果、円安が進み、その子供が生きる日本の輸入品価格が上昇するという構造になっています。

課題③:将来の資産調査リスク

NISAはマイナンバーと紐付けられ、国は個人の金融資産を把握しやすくなります。将来的に、大学無償化や給付型奨学金の審査基準が「フロー(年収)」から「ストック(保有資産)」重視へシフトする可能性があります。

その場合:

  • 真面目に貯蓄した家庭: 「資産があるので支援対象外」
  • 使い切った家庭: 「困窮しているので公的支援の対象」

という逆転現象が起きるかもしれません。

それでも「活用すべき」理由

課題っぽいことを色々と書いてみましたが、そうは言っても使える家庭は積極的に活用すべきです。

その理由は:

  1. インフレ・円安時代における防衛手段として有効
  2. 制度がある以上、使わない選択は相対的に不利になる
  3. 教育資金の準備方法として、税制メリットは大きい

ただし、「盲目的に飛びつく」のではなく、家計の状況を冷静に見極めた上で判断することが重要です。

実践的な活用戦略

戦略①:祖父母世代の資金を活用

自分たちの収入だけで年60万円は難しくても、祖父母世代には「銀行に眠っている資金」があるケースも。

「孫の教育資金として、銀行預金よりもこども支援NISAで運用しませんか?」という提案は、三方良しの選択肢になり得ます。

戦略②:児童手当を自動投資に回す

無理なく始めるなら、児童手当(月1万〜1.5万円)を自動的にこども支援NISAへ投資する設定が現実的です。年間12〜18万円でも、18年間続ければ運用益込みで数百万円になります。

戦略③:子供への金融教育をセットで

お金だけを渡すのは危険です。18歳で数百万円を手にした時、それを適切に使える判断力がなければ意味がありません。

  • 資本主義の仕組み
  • 複利の力
  • リスクとリターンの関係
  • 詐欺や浪費への警戒

これらを、成長段階に応じて教えていくことが、本当の意味での「こども支援」になります。

戦略④:無理はしない

最も重要なのは、家計を圧迫してまで投資しないことです。

生活防衛資金(生活費の6ヶ月分)を確保し、急な出費(大物の家電・PCが壊れた、車のパンク・修理など)にも目処をつけた上で、余裕があれば活用する。この順番を間違えてはいけません。

まとめ:制度を理解し、賢く付き合う

こども支援NISAは、完璧な制度ではありません。格差を拡大させる側面も確かにあります。

しかし、制度の存在に文句を言うだけでは何も変わりません。大切なのは:

  1. 制度の光と影を正しく理解する
  2. 自分の家計状況を冷静に把握する
  3. 無理のない範囲で最適な選択をする
  4. お金と一緒に知識も子供に渡す

新しい制度はしっかり調べた上で、上手く利用していきましょう。

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